その男、ヒモにつき 第16話
- swtmmrs
- 2016年8月10日
- 読了時間: 6分
episode16「忍び寄る蝶」

「あー、痛ェ...流石に昨日は飲み過ぎたわ...」
「ちょ、大丈夫~?ジョージが二日酔いなんて珍しいね!雨降りそう!」
「降らねえだろ...」

「...ふあぁ...おはようございまーす...」
「キョウちゃんおはよー!どうしたの、スゲー眠そうじゃん!」
「あぁ...なんか、最近寝つき悪いんスよね...前は布団入ったら速攻寝れたんスけどね...」
「え~なになに?恋患い、とか?(笑)」
「えっ...い、いや...」
「おいおい、ひょっとして図星か~?(笑)」
「え~~そうなのキョウちゃん!?」
「そ、そういえばレンさんはどうしたんスか?ボイトレ中とか?」
「あ~、レン君はちょっと遅れて来るって言ってたよ!なんか用事があるのかもねぇ。」
「とりあえず、俺らだけで適当に流しとくか。」

「――あ、そうだ。キョウスケ、言い忘れてたけど明後日のⅯスタ、出演決まったぜ。」
「あーそうなんスね...って、えぇ?!マジっスか?!」
「マジマジ!遂に地上波デビューだねぇキョウちゃん♪」
「...もー、いきなりすぎて俺、どうしたらいいのか分かんねえっスよ...」
「そんな気張んなくても大丈夫だって。これから何十回って出ることになるかもしれねえんだし、なぁユウヤ?」
「そうそう!巨乳のカワイコちゃんも生で見放題だし、マジ天国だからさ~♪」
「出たよおっ●い星人...」
――ガチャ。

「悪い、遅くなった。」
「おーレン、野暮用は済んだのか?」
「野暮用...は特に無いが、ちょっと紹介したい人がいる。」
「えっ、なになに?まさかまさかの新メンバーpart2とか?!」
「マジっスか...?」
「いや流石にそれはねぇだろ!(笑)」
「――おい、入っていいぞ。」
――ガチャッ。

「――お邪魔しまぁす。」
「おぉ...ってアレ?!お姉さんもしかして....?!」
「おいおい、マジかよ!どういうことだよレン!」
「(...??やべえ、話についてけねぇ...この人一体誰なんだ...?)」

「ふふっ。初めまして、ユリアです。突然お邪魔しちゃってごめんなさい。」
「やっぱりー!マジでびっくりだわー!」
「ユリアさん...?」
「あれ、キョウちゃん知らないの?!モデルさんだよモデルさん!雑誌とか表紙バンバン飾ってるし、TVにもよく出てんじゃん!」
「あ、あ~...(そう言われてみれば見たことあるような...)」

「やーしかし、実物はさらに綺麗だねー、参ったなーこりゃ。」
「もう、お上手ですね!」
「いやいや、本当だって!」
「ていうか、レン君!ユリアさんと知り合いだったの?!」
「いや、まぁ...」
「ふふ、知り合いというか...恋人、なんだけどね。」
「「マジかよ?!」」
「かーっ、レン君も隅に置けないね~この~!!」
「..よせよ。」

「――じゃあ私はここでちょっと見学させてもらうわね。」
「あぁ。」
「ひゃ~緊張すんな~!下手したらライヴ以上の緊張感だぜこれ!(笑)」
「ふふっ、私はただの観客の一人ですから、お気になさらず。」
「...やるぞ。」
「りょーかい!」

『....Just...me...~♪...the...highest...』
・・・

「――うん、もう最高ね!想像以上だったわ!」
「いや~それほどでも~♪」
「こっちも想像以上だったけどね、ユリアさん。」
「やだもう!」
「さっきまで二日酔いでグデグデだったのに復活早すぎるよジョージ!(笑)」
「そりゃあ、こんな美人目の前にしたら酔いなんか吹っ飛ぶだろ!」
「...ったく...」
「...あぁでもあれだぞレン?ユリアさんをお前から奪おうなんて気持ちは微塵もないからな?そこ勘違いするなよ?」
「ちょっと、レン君怒ってんの?!」
「別に怒ってねえよ...」
「ふふふ。」

「――じゃ、俺はちょっと調整入るから、しばらく休憩。」
「りょうかーい。あ~腹減った~!飯食い行こ~ぜ!」
「この辺の飯屋も流石に飽きてきたな...」
「え~、でも中戸屋のミックスフライ定食上手くね?何回食っても飽きねーわ!」
「好きだね~...」
「...キョウスケ君、ちょっといいかな?」
「えっ?」

「VLEUGELに入ったの、つい最近なんだよね?」
「はい、お恥ずかしながらガチガチの素人だったんスけど...」
「えーそうなの?てっきり経験者なのかなーって!センスあるんだね!」
「いやー、たまたま運が良かっただけッスよ!」
「運も実力の内、だよ!」
「ははは...」
・・・

「――へー、そうなんだ!でもレンがたまたまそのコンビニに行くなんて、すごい偶然ね!」
「そうなんスよねぇ...色々驚きましたよ、ホント...」
「すごいなぁ...」

「...まぁけど、ギタリストになりたいって前から思ってたんで、こんな滅多にないチャンスを頂いちゃって、レンさんには感謝の気持ちしかないッスよ....」
「ふふっ、レンはあんまり感情を表に出すタイプじゃないから勘違いされやすいけど、きっと心の中では色々感じてると思うわ。こんな素敵なメンバーと一緒にやれて。」
「そうッスかね?」
「そうよ!」

「――あそうだ!キョウスケ君、良かったら連絡先教えてくれない?何かあった時とか役に立つと思うし...それに、レンの仲間とは是非仲良くしたいなーって。」
「あぁ、はい!ちょっと待ってくださいね。」
「ふふ、ありがとう!」

「キョウスケ君は、結構夜更かしする人なの?」
「まぁ、そうッスね~。割と?」
「そっか!」

「――なんだ、まだここにいたのか。そろそろ再開するぞ。」
「あ、了解です!」
・・・

「――なんか、気まずいなぁ...キョウスケ君、この前の事気にしてなければいいけど...」
――ガチャ。

「ただいま、レイカちゃん!あ、もしかしてまだご飯食べてなかった...?」
「おかえり!うん、今用意するね!」

「ごめんね、遅くなって!」
「大丈夫だよ!あ、うどんでいい?エビ天もつけるよ!(笑)」
「うん、ありがとう!」

「――キョウスケ君、どう?メンバーとは上手くいってるの?」
「うん、上手くやれてると思うよ。あ、そうそう。今日レンさんの彼女がスタジオに遊びに来たんだけど...モデルのユリアさんって知ってる?」
「知ってるよ!すごい人気なんだよね、ユリアちゃん。美人だしスタイルも良いし...えっ、ユリアちゃんってレンさんと付き合ってるの?!」
「そうなんだよ。恥ずかしながら俺は知らなかったんだけど、ユウヤさんとかすげえ驚いててさ...すごい人なんだね、ユリアさん!」
「流石芸能人だなぁ...」
「でもレイカちゃん、俺も一応芸能人だよ?(笑)」
「あはは、そうだね!」
「まだまだ端くれだけどね~」
「キョウスケ君はこれからだよ!」

「――レイカちゃん、この間の...西園寺さんは、あれから大丈夫?なんかされてない?」
「あぁ、うん!特に連絡も無いし...まぁ、しばらくお母さんからの鬼電が酷かったけどね(笑)」
「マジで...?」

「――お母さんはいつもそうなの。でももう、言いなりにはならないって決めたから。怖いもの無し!」
「...だね!レイカちゃんの人生はレイカちゃんのものなんだから、レイカちゃんの生きたいように生きなくちゃダメだよ。」
「ありがとう、キョウスケ君にそう言ってもらえるとなんか安心するなぁ。」

「...あそうだ、レイカちゃん聞いてよ!明後日のⅯスタの出演決まったらしくてさー、いきなりすぎてビビったよ!」
「Ⅿスタ?!すごいね、キョウスケ君テレビ出るの初めてだよね?」
「うん、緊張し過ぎて気絶したらどうしよう!(笑)」
「色んな意味で録画しておかなくちゃ!(笑)」
「やめてよー!(笑)」
・・・

「...ふぅ。普通に会話出来てよかったぁ...もう、西園寺さんの件は忘れよう...」

「...自分の人生、か。みんな、色々あるよな....」
――ピロリン♪

「ん、誰だろうこんな時間に...えっ、ユリアさん?!」
・・・

「――キョウスケ君、コーヒー持っ...」
「あぁユリアさん、今日はどうも...えっ?あ、大丈夫ッスよ!」

(...キョウスケ君、ユリアちゃんと話してるの...?どうしてこんな時間に...?)
to be continued...