その男、ヒモにつき 第11話
episode11「転機」
「――はい、お昼ご飯だよ。残さずちゃんと食べてね~。」
「ん、不在着信入ってるな。――アイリからだ!」
「――あ、もしもしアイリ?電話くれた~?うん!....あっ、いいよ!いつ?...明日ね、りょうかーい!」
・・・
「――で、いきなり今夜ディナーに行ってきなさいって言われて!ほんと困っちゃったよ~。」
「え~!!でもすごいね、御曹司なんでしょ?」
「らしいけど、なんか話があんまり合わないって言うか...ちょっと違うな~って。」
「もったいないよ~(笑)」
「――あ、そうそう!聞いて!私次号のsimon-noの表紙決まったの!二人で、だけど(笑)」
「えーー!すごいじゃん!絶対買う!」
「ありがとー!よろしくお願いしまーす(笑)」
「いいなぁ~アイリは~。日々変化があるっていうか、私なんか毎日同じ事の繰り返しみたいな感じでマンネリ気味だし...なんかドドン、と超びっくりする事起きないかな~(笑)」
「あはは(笑)でも、二人とも偉いよ!ちゃんと人の役に立つ仕事だし、私なんて自己満足の塊みたいな感じだもん(笑)」
「そうかな~?でも確かにユリはすごいよね!私不器用だから美容師は絶対無理だなぁ~。」
「慣れだよ慣れ(笑)新人の時はしょっちゅう怒られてたよ!切り方がちゃんと左右対称になってない!みたいな(笑)」
「それは困る~!(笑)」
「でしょ?!(笑)」
「――タルト美味しそうだなぁ~。けど我慢我慢。」
「え~アイリも食べればいいのに!」
「そうだよ~、ここのタルト超人気で売り切れてることが多いらしいよ!」
「ん~...でも食べたら止まらなくなりそうだから、私は遠慮しとく!」
「アイリ細いんだから、そんなに気にしなくてもいいと思うけどなぁ~。」
「全然!脚とかもっと細くしないと~...」
「十分細いじゃん!それ以上細くするって逆にやばいよ!」
「見てよ私のこの、お肉たっぷりの脚!(笑)二人とも脚細くて羨ましい!」
「レイカはいいんだよ、健康的で!私は...ほら、モデルやってると色々厳しいのよ、周りほっそい人ばっかりだから。」
「そっか~...」
「――で、ユリさんはいつ結婚式に招待してくれるのかしら?(笑)」
「そうそう!超楽しみにしてるんだからー!(笑)」
「あー、その話ね!彼ちょっと今仕事が忙しくて、式はもうちょっと落ち着いてからにしようって事になったんだ~。」
「そっかそっか!式に着ていくドレス決めないとなぁ...」
「――あそうだ!この後ちょっと買い物付きあってくれない?服買いたいんだよね~!」
「え~、アイリこの前もいっぱい服買ってたよね!?また買うの?!」
「この前行ったとことは違う店!私着まわしとかしない派だからさ~。」
「すごいなぁ...わたしなんかジーンズとか一週間ほとんどローテで履いてるよ(笑)」
・・・
「――あとは~...どこだっけ~。」
「え~まだ買うの~?...歩きすぎて脚パンパンだよ~。」
「あっ、あそこは?アイリ好きそう!(笑)」
「あ~あのワンピ可愛い!ちょっと寄っていい?」
「も~タフだなぁ~二人とも~!」
・・・
♪~♪...♪
...♪...♪
♪♪...
「――っと...お粗末様でした!」
「――なるほどね。確かにレンが気に留めるのも分かるわ。」
「お兄さん、なかなかやるじゃ~ん!」
「えっ?!そうっスか...?」
「うん、結構良い線行ってるよ。素人とは思えないね。」
「...マジっスか?!」
「――てか、あの~...話が全然見えないですけど...」
「...あそっか、言って無かったんだっけ?うち今までギター無しでやってきたんだけど、ここいらでギター入れて、一新してみようかって話してたんだわ。で、オーディションで新メンバー決めようかと思ってたんだけど、どうもレンが乗り気じゃなくてね。聞いてみたら見込みのある人知ってるから、一回会わせたいって言ってて。それがお兄さんってこと!」
「あ~そういう...えっ?!俺ですか?!」
「そ(笑)」
「――後はあのプロデューサーがなんて言うかだな...」
「あ~あのきょ...派手な人ね!どうだろうね~?」
「お前今、巨乳って言いかけてやめただろ?(笑)」
「あははは(笑)」
――ガチャッ。
「――妙に騒がしいと思ったら...何してるの?」
「噂をすれば、だな。」
「てかそんな煩かったっスか?(ここ防音のはずなんだけどな...)」
「おー!えっと...レイナさん!超グッドタイミング~!今新メンバーが決定しそうなんで、レイナさんに相談しないと~って話してたとこなんですよ~!」
「(この人ちょっとレイカちゃんに似てるな。レイカちゃんの方が雰囲気柔らかいけど。)」
「新メンバーって...ギター?...というか、そこの清掃員はなんでここにいるの?」
「えっ!あぁ、お邪魔してまーす...(なんか怖いなこの人...)」
「違う違う!このお兄さんが新メンバー!素人なんだけどギター超上手いの!」
「...はぁ?素人?...良い訳ないでしょう、バンド経験者ならまだしも、素人なんてなんの保障も無いわ。却下。」
「あー...やっぱそうっスよね...」
「....」
「ん、どうしたレン。」
「...何?」
「――お願いします。俺が全責任負うので、どうかこいつをギターとして迎え入れてくれませんか。」
「(...マジかよ!)おい、レン...!」
「....本気なの?」
「...もしこれで上手く行かなかったら、俺も抜けます。それぐらい覚悟してます。」
「っひょー!!レン君本気じゃん!妬けるね~!」
「レン...」
「(なんかヤベェことになってないかこれ?!)あっ、いや俺はそんな...!」
「――お願いします!」
「――ハァ...分かったわ。今言った事、忘れないように。」
「...ありがとうございます。」
「...!ありがとうございます!」
「やったじゃーん!!レイカさんありがとー!!」
(ま、マジで...?展開急すぎてキャパ超えそうなんだけど!てかどうする俺?!)
to be continued...