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その男、ヒモにつき 第5話

  • swtmmrs
  • 2016年4月11日
  • 読了時間: 3分

episode5「交差」

「――よし、手垢・水滴・曇り、オールOKっと。」

「ハァ...中腰ってきっつー...これなら雑巾がけのほうがいくらかマシかも...」

「――先輩~、もうお客さん来ないんですかね~?」

「ん~、そのうち来るでしょ。早朝なんてこんなもんだよ~。」

「そうなんですか~...」

「ていうか~、暇すぎて死にそうなんで帰ってもいいですかね~?今日夕方からクレイジーブルドックのライブ観に行くんでゆっくり寝たいんですよね~...はぁ...」

「クレイジーブルドック...?すごいバンド名だね(笑)」

「でもカッコいいんですよ~、パフォーマンスすごいし!演奏エアですけど(笑)

――なんか他にもそういうバンドいたような...

「――まぁまぁ、そう言わないでさー。もうしばらくしたらお客さん来るよ、きっと。」

「え~、でも来る気配全然無いですよ~?」

「はは、俺も最初はそう思ってたけど意外といきなり来客ラッシュになったりするんだな、これが(笑)」

「ほんとですか~?」

「...多分?(笑)」

「も~!!」

「あ~あ...有線でクレブル(略称)の曲かけてくれたらちょっとは気が紛れるんだけどな~...あ、もしかして自分でCD持ってきたら流してもOKだったりします?」

ダメだよ!(笑)てか、なんだったらミヤビちゃん昼勤に変えてもらったら?深夜は何かと物騒だし、女の子は危ないよ~...強盗とか来たら大変だし?」

「嫌ですよ!時給1000円は譲れません!昼勤にしたら3日働けば買えるアルバムが4日働かないと買えなくなっちゃいますもん!」

「...そういう基準なんだね(笑)」

・・・

――ピロリロリロン♪

「いらっしゃいませー!」

「――100円になります!」

「...レシートいらない。」

「ありがとうございましたー!」

――ちょっとちょっと先輩!!

「...ん、どうしたの?」

「さっきの人、VLEUGEL(ヴルーヒゥル)のレンですよね!?サングラスしてたから最初分からなかったけど、絶対そうですよ!!めっちゃカッコよかった~!!」

「VLEUGEL?」

「先輩知らないんですか?!今超人気のロックバンドですよ!ギター無しのスリーピースなんですけど、もう曲が超カッコいいの!あ~~、握手してもらえばよかった!タイミング逃した~!」

「へー!さっきの人は何担当なの?」

「ボーカルですよ!一番人気なんです!アタシはベースのジョージがタイプなんですけど、レンもカッコよかったな~!」

「そうなんだ~」

「リエコにLI●Eしとこ~...あそうだ、twit●erにも書いとこ!

さっきうちのセ●ンにVLEUGELのレン来たー!!めっっっちゃカッコよかった~(//▽//)』っと...」

「...いや、それ個人情報漏洩だからダメだよ...」

「え~!!ダメですか~?!...先輩のケチ...」

「そんなこと言われても...(笑)」

・・・

「――はぁ...」

――...こんな~...だからこそ~...♪―

「...?」

「――出会った頃は~...君のことさえ~...♪」

「....」

「――それだけで~...他には~...♪」

「....」

「――もう何も~...あっ...

「(――うわ、さっきの....レンさんだっけ?まだ近くにいたのか!)す、すいません!こんな時間から迷惑でしたよね...つい癖でというかなんというか...その...」

「――アンタ、ギター歴長いの?」

「えっ?あ、あぁ、まぁそうッスね...割と小さい頃から...つっても、完全に自己流ですけど...」

「...ふーん...」

「(き、気まずいなこれ....)」

「――路上で弾いたりもしてるんですけど....まぁ、自己満みたいなモンですけどね...」

「...素人?インディーズ?」

「や、普通に素人です!ソロですし....寂しいもんッスよ...(笑)」

「...そ。」

「――邪魔して悪かったな。気にせず続けてくれ。」

「え?いえ、あぁ、ハイ...」

「――プロから見たらこんなのお遊びだよなぁ...恥ずかし...あ、俺も握手してもらうの忘れちまった....ははっ...

・・・

――完全に自己流、ね....それであそこまで弾けるもんなのか....?

「――ま、俺達には関係ねえか....」

to be continued...

 
 
 
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