その男、ヒモにつき 第3話
- swtmmrs
- 2016年4月6日
- 読了時間: 4分
episode3「嵐過ぎて」
・・・

「――...んー...」

「...やべ。いくらなんでも爆睡し過ぎたわ...」

「――あ、もう起きてたんだ。おはよーございます。」

「あぁレイカちゃん、おはよ。ごめんね本当、いきなり図々しいお願いしちゃって...」
「ううん、大丈夫。(ちょっと戸惑ったけど...)どう?よく眠れた?」
「うん!もう、爆睡しちゃったよ(笑)久しぶりによく眠れた感じ!」
「そっか、よかった!...ていうか、ソファでごめんね...敷布団でもあればよかったんだけど...」
「いやいや!俺ほんと床でもOKなタイプだから!レイカちゃん家のソファふかふかで超快適だったし(笑)」
「そ、そう?(タフだなキョウスケ君...)」

「最近はずっとネカフェとかで寝泊りしてたからさ。なんていうか、いいよね、この家の温もりっていうか...」
「そうだったんだ...(なんか色々事情がありそう...)あそうだ、キョウスケ君お腹空いてない?」
「正直めっちゃ空いてるよ!先週から一日カップ麺一食で凌いだりしてたし、昨日なんかバーで飲んだだけでなんも食べて無いもん(笑)」
「えぇっ?!死んじゃうよ!もっと食べなきゃ...あっ、じゃあグリルドチーズとかどう?結構高カロリーだし!女子には大敵だけどね!(笑)」
「いいねー!じゃあそれで、お願いします...!」
「はーい、ちょっと待っててねー。」
・・・

「おー!美味そう!」
「――あ、あんまり美味しくないかもしれないけど勘弁してね!今料理勉強中なの。」
「じゃあさっそくいただきまーす!....ん!」
「ど、どうかな...?」
「これ超美味いよレイカちゃん!割とマジで美味すぎて涙でそう...俺のグリルドチーズ願望達成できそうだよ...」
「そ、そこまで...?!でも、そっか、よかった...!」

(褒められちゃった...頑張って工夫した甲斐があったな...)
・・・

「――でね、よく見たら頭に掛けたの気付かないでずっと探してたの、メガネを(笑)」
「あははは(笑)そういうことって本当にあるんだねー。」
「そのうち私もやっちゃいそうで怖いよ(笑)」
「俺もそのうち...(笑)」

「――キョウスケ君はさ、歌手になりたいの?それともギタリスト?」
「んー、そうだなー...なんかあんまりよく考えたこと無かったかも(笑)」
「そうなの?(笑) 歌も上手いし、ギターも上手いし...どっちなのかなぁって。」
「元々ギター弾くのが趣味でさ。ある日なんとなーく公園で弾いてたらだんだんノってきちゃって(笑)ついでに歌も付けちゃおうかなーと思って今に至ります、みたいな?(笑)」
「そうなんだ(笑)じゃあシンガーソングライター志望ってことでいいのかな?」
「うーん、まぁとりあえずギターさえ弾ければそれで良し!って感じかな?」
「じゃあやっぱりギタリスト?」
「ていうかミュージシャン?」
「漠然としすぎじゃない?!(笑)」
「ははは(笑)」

「――でもさ。人生ほんと何があるか分からないから、そのうち俺がいきなりスカウトされて衝撃のデビュー!からのもはやテレビで見ない日は無い、みたいな大物になる可能性もあるわけよ?そう考えたらなんかワクワクしてこない?」
「あはは(笑)そうだよね、確かにそういう可能性もあるし、夢も捨てたもんじゃないよね。」
「そうだよ!武道館で一万人ライブとかさ。ありえるわけよ。あっそうだ、今のうちにサイン書いとこうか?(笑)」
「う、うーん、とりあえずいいや!(笑)」
「つれないなーもう(笑)」
・・・

「やー、ごめんね!長いことお邪魔しちゃって。」
「ううん、色々話せて楽しかったよ!」
「次のライブチケットは絶対に取っておくから、期待しといて!(笑)」
「ふふっ、楽しみにしてまーす(笑)」

「――じゃあ、お邪魔しました!今度何かお礼させてね!」
「やだ、そんな気にしなくてもいいのに!...じゃあガ●トでご馳走してもらおうかな!」
「おう!ステーキでもパフェでも何でもご馳走するよ!(笑)」
「是非お願いします!(笑)」

「――レイカちゃんといるとさ、楽しすぎて時間忘れるっていうか...ありがとね。」
「...ううん、そんな...」
「...じゃ、また連絡するね! 今日は本当にありがとう!飯もご馳走様でした!」
「うん、またね!」

・・・

(――さっきの言葉、本心だったら嬉しいな。)
・・・

(...~♪.....)

「――ハイ、今日はもうそこまでで結構。お疲れ様。」
・・・

「――フーッ疲れた。しかしなかなか手厳しいな、あのプロデューサー。」

「――っつぅか、何様なのあの人。敏腕若手プロデューサーだかなんだか知らねぇけど、いきなり出てきたと思ったらあれだよ。こっちだって色々考えてやってるっつーのに、分かったような口聞きやがって...」
「まぁまぁ、レン君。そんなカリカリしないでさー。あの人にはあの人なりの考えがあるんじゃねーの。」
「...巨乳美人にはやたら甘いよな、ユウヤ。」
「あっ、バレちった?(笑)」
「...バレたも何も昔っからそうじゃねえか...」

「――まぁ、確かにギターがいねえのは大分キツいとこあるよ。曲は作れてもライブだと映えねぇし。」

「ジョージの作る曲好きなんだけどなぁ。ま、確かにそろそろギター引っ張ってきたほうがいいのかもねぇ。」
「....」

――ガコン。
「...今まで俺らだけでやってこれたんだから、ギターなんかいなくたって何も問題ねえだろ。俺は認めねえからな、あまちゃんの新入りなんてよ。」
to be continued...
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