その男、ヒモにつき 第2話
- swtmmrs
- 2015年6月9日
- 読了時間: 3分
episode2「噂をすれば何とやら」

「――熱もだいぶ下がりましたね、もう少し様子を見ましょう!」

(昨日は妙にぐっすり眠れたせいか体が軽いなー、仕事が捗る!)
・・・

(あれ、電話来た。――ユリからだ!)

「もしもし?あぁユリー?久しぶりー。――今から?うんいいよ!散らかってるけどー。」
・・・

「おじゃましまーす、わー玄関広い!いいねー!」
「そうかな?あ、でもそこの部屋完全に物置になってるから(笑)」
「いいじゃん、アトリエみたいな感じで!」
「うんそう、一応アトリエなんだー。たまにしか使わないんだけどね。」
・・・

「ええっー?!プロポーズされたの?!」
「ふふっ、そうなの。つい昨日なんだけど、一番にレイカに報告しようと思って!」
「やだー、なんか照れる!(笑)」

「いやでも、本当に良かったね!おめでとう!」
「ありがとう!なんというかこう、ホッとしたわー。」
「よかったよーほんと!なんか興奮したらお腹空いてきちゃった!(笑)」
「なぜに?!(笑)」
「なんか食べるもの...あそうだ、昨日作りすぎて残っちゃったスープがあるんだけど、ユリもよかったら食べるー?」
「いただきます!」
・・・

「――でね、私は絶対ロングのシンプルなやつがいいと思うのに、『俺はミニでも可愛いと思うし見てみたい!』って聞かなくて!ホント困るわ、適当に言ってるだけでしょ!みたいな。」
「あはは(笑)でもいいなぁー、私からしたらすごい贅沢な?というか、幸せな悩みだなぁ...」

「レイカは今、いい感じの人とかいないの?」
「うーん、いい感じ...というか、ちょっと気になってる人はいる、かな?」
「おー!どういう人?」
「うんまぁ...一応ミュージシャン?なんだー。」
「一応ってどういうこと?(笑)まぁいいや!でもほらあれだよ。」
「うん?」

「今はまだ若いからいいけど、あと二年もしたらアラサーだよー?今のうちにちょっとは目星つけとかないと!(笑)」
「ギクッ...そ、そんなこと言われてもぉ...」
「ふふふ(笑)でもま、レイカは可愛いし来る時が来たらすんなりいく感じはするけどね!まぁ気長に待ちましょ。」
「でもあと二年したらアラサーなことには変わりないじゃん!」
「ジョークだよジョーク!(笑)よし、そろそろ帰るわー、おじゃましました!スープご馳走様ー。」
・・・

(――ユリ、幸せそうだったなぁ。結婚かー...私もいつかは...しかしそのいつかはいつくるのか全く検討がつかないのが悲しい...)

(まぁでもそのうち――、ね。)

(――よし、なんか一人でしんみりしてるのも嫌だから気晴らしに飲みに行こっと!)
・・・

(流石にこの時間に来るのは向かいに住んでる私くらいしかいないかー。)
「...あれっ?」

「――あっ、レイカちゃんじゃん!」
「キョウスケ君!どうしたのこんな時間にこんな所で?!」
「いやー、しっぽり飲んでただけだよ(笑)」

「レイカちゃんこそ、こんな時間に女の子一人で出歩いたら危ないよー?」
「いいの、私の家ここのすぐ向かいだからー。」
「えっ、そうなの?!すごい偶然じゃん!」
「もーびっくりしたよ!」

「ところでキョウスケさん、武道館ライブのチケットはいつ頂けるのかしら?」
「あーっ、その事なんだけどごめん!販売開始5分で完売しちゃってさー!(笑)」
「うっそーー!(笑)大人気じゃん!」
「そうなんすよー...ほんと悪いね!次回は必ず!(笑)」
「約束したからねー、次はちゃんと取っておいてよ?(笑)」
・・・

「――あの、さ。すごい図々しいお願いでほんと申し訳ないんだけど、今日一晩だけレイカちゃんちに泊めてくれないかな...?」

「――えっ?!家に...?」
「うん、帰るとこなくて最近は友達んちとかネカフェで寝泊まりしてたんだけど...」
「そ、そうだったんだ...」
「ほんと、何もしないって約束するし、床でも何でもいいから場所だけ貸してくれないかな...?お願いします...!」
「う、うーん...」
(どどどどうしよう...男の人泊めたことないし...でも本当に困ってるみたいだし...)
to be continued...
※最後のSSで後ろにいつのまにか写り込んでいたお兄さんは本編とは一切関係ありません。ただのご近所さんです。